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思い切ろうとしていたタイミングで雨が降る。
彼の好きな雨が。
「雨音って綺麗じゃん」
彼の言葉に、眉を曇らせたわたし。
その日は、海に行く予定だった。
「そんな顔するなよ。同じ場所に一緒にいることが大事だろ」
その言葉の意味が今ならよく分かる。
雨が降る。
一年前と同じ雨が。
わたしの心の中にも雨が降って、降りすぎて、涙は乾いてしまった。
投げ出された、携帯電話。
決意した別れを言い出せないまま、晴れの日の明日を待つ。
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