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自分の席からでは窓際の列に居る彼の顔は良く見えないが。
彼は黒板を見ては視線をノートに落とし、ペンを走らせている。
そんな何でもない行動の繰り返しなのに、
何故か私は彼から目が離せない。
気になる彼。私の時間を奪う彼。
そもそも私は何で彼が気になるのだろう?
私には、彼と特に何かを話したって記憶も無い。
彼から視線を外し、教室の天井をぼんやりと見上げては考えてみる。
暫く考えて見たけど答えは出なかった。
「…はぁ。」
代わりとばかりに出て来た溜息と共に
視線を下に落とせば、其処には自分のノート。
私は黒板とノートを交互に見ては、再び焦りながらペンを取る───
午前の授業が終わり。時間は楽しい昼休み。
教室の皆が友達と思い思いにお昼ご飯を食べる中。
私も自分のお弁当箱を持って、友達の下へと向かう。
友達の席は教室の後ろ出口近くだ。
茶髪のショートが似合う格好良い彼女は、
既にお弁当を机の上に広げて居た。
「あ、ハナちゃん早い。」
「まだ広げただけよ。」
彼女に言われて机を良く見れば、
確かに広げただけで、お箸はまだ箸箱の中だ。
早とちりした私は苦笑いを浮かべるしか出来ない…。
何に急かされている訳でも無いけど、私は気持ち早めに。
彼女の隣の机を、彼女の机と向かい合わせる様に動かす。
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