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学校の授業も終わり、家への帰り道。
私は考える。彼が気になるこの気持は一体なんなのか。
誰かに聞いてみれば、もしかしたら答えを
教えてもらえるかも知れない。
でも、私は友達にも家族にも、この事を相談する積りは無い。
漠然とだけど、この気持の正体は
自分自身で見付けないと行けない気がするからだ。
…後。後何となーくだけど。
「(もう少しこの気持を長引かせたい様な…?)」
凄く変で矛盾した話だけど。この不可思議な
気持を大切にしたい様な。或いは独り占めしていたい様な。
言い切る事の出来ない何とも複雑な気持ちが、私の胸の中にはある。
何て事を考えながら歩いて居ると、学校近くのコンビニ前を歩いていた。
チラリとコンビニの中を流し見る。
「…。…!?」
私は思わずコンビニの中を二度見してしまう。
近くを歩いていた人にちょっと不審がられたけど、
そんな事はどうでもいい事。
何故なら、コンビニの中には“彼”が居たからだ。
「(コレは…。チャンスかも知れない。)」
彼に対して私が感じているこの気持がなんなのか。
それを彼に直接聞くチャンス。間違いなくこれはチャンス!
よし。コンビニから彼が出て来たら話し掛けよう。
私は彼がコンビニから出てくるのを、コンビニの外で一人待つ事に。
暫くすると。彼がミニペットボトルを片手に、
コンビニの出口へ歩いて来る。私もコンビニの自動ドアへと向かい。
「(来た!チャンスが来た!チャンス。チャンス。チャンス───)」
頭でチャンスと連呼しながら。私は彼とすれ違うようにして、
コンビニの中へと入店する。
「いらっしゃいませー。」
私はそのまま流れるような動きで、
紙パックのジュースを手に取り、レジで会計を済ませ。
コンビニを出る。
「ありがとーうございましたー。」
コンビニを出て辺りを見渡す。
当然だが彼は居るはずも無く、私は空を見上げ。
「(私は…。一体何がしたかったのかな…。)」
答えの出せない自問が心に浮かぶ。
急に体が強張り、彼に話し掛ける所か。
目を合わせる事も出来なかった。
私はコンビニで買ったジュースを飲みながら、
足取り重く。家を目指して歩き出す───
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