初めて知った“恋”は“失恋”で。

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 彼と話すべきだと漠然と思い。 私は学校で彼に話し掛けるチャンスを伺う。 彼を遠巻きに見詰め。いざ話し掛けようと思っても。 「(せ、席を立てないッ…!)」 話し掛けに行こうとする度に、足は重りが付いた様に重く。 目の奥からはじんわりと熱が広がる感覚が押し寄せ、 顔が熱くなってしまう。それらを必死に鎮めている内に、 チャンスは何処かへと消えてしまう。 「…(おかしい。症状が悪化している気がする。)」 そんな情けない事を毎日続けている内に。 いつしか私は彼を眺めているだけで、 彼の声を聴くだけで心がざわつく思いを感じるように。 それは心を掻き乱す様な不快感は無くて、 どちらかと言えば心地良いざわめき。 勿論私は彼に声を掛けようと努力した。したよ…。 だけど、どうにも彼に話し掛けられず。 タイミングを図ろうと彼を観察する日々。 そんな日々が続き。私は出欠の時に彼の声を聞こる事に。 彼を見ていられる日々に、 何処か満たされた何かを覚えてしまっていた。 観察しては満足してしまい。 話し掛けられずに時間だけが流れに流れ─── 「“で”。まだモヤモヤの理由は未だに分かってない訳?」 「う、うん…。」 何時ものようにお昼を囲む彼女は、 お礼の半分として、私に悩みの経過報告を求めて来た。 経過報告を聞いた彼女は、 やれやれと言った具合の表情を浮かべ。 「人の事は言えないけど。 そう言うのは早い方が良いのよ。」 「…うん。」 彼女に言われる前から、勇気を出さなくてはと 思っていた。勇気を。勇気を出そう。 「よし、明日!明日こそ彼と話してみるよ!」 「決意するのは良いけど…。 その台詞はやめなさい。」 「?」 何故か彼女はお昼が終わるまで、ずっと呆れ顔だった。 気にはなったけれど、それよりも私は、 明日の事で既に頭がいっぱいだ。
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