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何を話そう。
久しぶり過ぎて、毎日電話をしていたあの頃よりも、話題が見つからない。
「関西弁、捨てたんか」
「えっ? 捨ててないよ!」
「ほら。そのイントネーションは関東弁や」
「……ごめん。こっちで東京の人としか関わってなかったから……」
「まぁええけど。これから俺と関わったらまた思い出すやろ」
「えっ?」
ナオキは、持っていたカバンの中から小さな花束を取り出した。
カバンの中でこすれたのか、花びらが少し落ちている。
「俺と、結婚を前提に付き合ってください」
「ナオキ……」
涙が、一筋瞳からこぼれた。
あのときとは違う涙。
こんなにも幸せな涙があったなんて。
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