9人が本棚に入れています
本棚に追加
「私の夢は、ナオキと結婚すること。歌で成功することじゃない。東京に行っても、きっと上手くいかへん。それなら、このままナオキとここにおりたい」
「レナいつも言ってるやん。やる前から諦めんな。って。俺に言ってくれてた言葉、自分に今言わな」
私は下唇を噛んだ。
もし頑張ってデビューができる将来が見えたとしたら、それでも私はここにいるだろうか。
「……まぁ、もう俺には関係ないけどな。好きな子おるし。信じてくれへんかったらあれやな思って、今日呼んでん」
「……えっ?」
ナオキの視線の先を辿ると、そこには派手な女性がいた。
「こんにちは~」
下着が見えてしまいそうなくらい短いスカートを履いているその女性は、腰を振りながら歩いてくる。
私は自分の下半身を見た。
ジーパンにスニーカー。
スカートなんて、もう何年も履いていない。
「ナオキと別れてーよ」
その女性がナオキの腕に手を回す。
見たくない。
ナオキと他の女性が触れ合っているところなんて。
最初のコメントを投稿しよう!