世界で一番下手な嘘

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「私の夢は、ナオキと結婚すること。歌で成功することじゃない。東京に行っても、きっと上手くいかへん。それなら、このままナオキとここにおりたい」 「レナいつも言ってるやん。やる前から諦めんな。って。俺に言ってくれてた言葉、自分に今言わな」 私は下唇を噛んだ。 もし頑張ってデビューができる将来が見えたとしたら、それでも私はここにいるだろうか。 「……まぁ、もう俺には関係ないけどな。好きな子おるし。信じてくれへんかったらあれやな思って、今日呼んでん」 「……えっ?」 ナオキの視線の先を辿ると、そこには派手な女性がいた。 「こんにちは~」 下着が見えてしまいそうなくらい短いスカートを履いているその女性は、腰を振りながら歩いてくる。 私は自分の下半身を見た。 ジーパンにスニーカー。 スカートなんて、もう何年も履いていない。 「ナオキと別れてーよ」 その女性がナオキの腕に手を回す。 見たくない。 ナオキと他の女性が触れ合っているところなんて。
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