世界で一番下手な嘘

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ライブが終わり、私は控え室に戻った。 差し入れのシュークリームを頬張っていると、ドアがノックされた。 「はい」 ドアがゆっくりと開き、顔をだしたのは―― 「……ナオキ」 1年振りに見るナオキは、あのときと何も変わっていなかった。 髪型も、服装も、何もかも。 「どうして……」 「約束したんレナやん」 「えっ?」 「ライブすることになったら来てって言うたやん。まさか忘れたん?」 「いや、覚えてるけど、まさか本当に来てくれるなんて……」 「ほんで、こいつも来たい言うから連れてきた」 「こんにちは~」 その声に聞き覚えがある。 あのときにいた女の子だ。 「ナオキの従兄弟のミクです!」 「えっ、従兄弟!?」 「はい!」 新しい好きな人だというのが嘘だとは分かっていたけど、従兄弟だったとは知らなかった。 「レナさんのライブ、ほんっとーに素敵でした! もー感動したもん」 「ありがとうございます」 「じゃ、後は2人でごゆっくり~」 ミクさんが部屋を出ていく。
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