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機械街の少年
ある閉ざされた街があった。ドーム型の壁に四方と頭上が覆われており、外から中を見ることはできない。旅の者がそれを見ても、不自然に佇むコンクリート状の物体に首を傾げるしかなかった。入り口なんて、どこにも見当たらないのだから。
ただ、唯一気づくことがある。そのドームの頂上からは、泥のように濁った煙がモクモクと伸びており、薄い水色の空にシミを作っているのだった。
壁に囲まれたその街に陽の光は当たらない。日傘の真裏が影で暗いように、街の空は恐ろしい深淵が覆っている。
しかし街全体は様々な光で満ちており、奇妙なほど明るかった。赤、青、黄色。まるで夜空の星を奪い取り、ドームの中に閉じ込めているようだ。
その光は街を埋め尽くす工場によるものだった。外の世界では、太陽と月が代わる代わる地上を照らすのに、この街の明かりは眠ることを忘れてしまっている。それとも、眠ることを知らないのだろうか。甲高い金属音があちこちで鳴り響き、それが一秒たりとも止まることはなかった。
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