機械街の少年

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 それでも、眠らないと。少しでも休まないと、仕事に支障が出る。出来かけの〝友達〟に手を振って、少年はごわごわの布団に沈んだ。  夢を見た。あたりは白いベールに包まれたようにうっすらと白んでいる。普段は頭を震わせてうるさいコンベアの駆動音が、どこか心地よい。工場の天井に穴が開いていて、黒い空が見えている。少年は、あの空が怖いと思っていた。なのに、少しも怖くなかった。少年は笑顔だ。誰かの手を握っている。ひんやりと冷たいのに、その冷たさの奥にある、ほんわかとした温かさを感 じていた。
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