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「なんだか佳奈、顔色悪くない?。大丈夫?。そう言えばメールで『憧れの君』に彼女がいるかもって?」
思わず、ぎくっ、
「ああ、それね。もういいんだ。実は昨日、『憧れの君』の左手の薬指に指輪があるのを見ちゃったんだ。やっぱ、結婚してたみたい。」
「えーーー。そうなの。残念ねー。でもまたいい人があらわ」
「やっぱ、私帰る。実はお昼からちょっとお腹が痛かったんだ。また痛くなってきたんでやっぱ帰るわ。」
トモが言い終わらないうちに言葉をかぶせてしまった。さすがにトモに慰めの言葉を掛けられるのは耐えられない。みじめすぎる。
「ごめんね。ありがと。じゃあまた連絡するね。」
口早にそう言って外に飛び出した。
駅まで足早に歩く。
顔が引きつってたかな。ばれたかな。
でも何で『憧れの君』が親友の彼氏なんだよ。おんなじ人を好きになるなんて。しかもプロポーズされたなんて。
試合が始まる前からKO負けじゃん。
なんで。なんで。
それはトモはいい子だし、かわいいし、頑張り屋だよ。でも私もいい子で頑張ってるのに。そう頑張ってるのに・・・。
鼻の奥がつんとしてくる。必死にこらえるが、じわっと溜まった涙がぽろぽろとあふれてきた。
行きかう人が私の顔を見て、ぎょっとしている。
早く家に帰り着きたかった。
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