白いブーケ

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翌日も、気が付くと昨日のことばかり頭に浮かんでくる。 負けたわけじゃないよね。もし私の方が先に会っていたら、もし客と店員っていう立場じゃなかたら、プロポーズを受けていたのは私かもしれないよね。 花の下処理のため、バラの花一本一本を水の中で水切りしながら、でも頭の中では同じことをぐるぐる考えていた。 しかし、よく考えたら、片思いだから彼氏をとられたわけでもないし、トモに悪気があった訳でもない。その親友が、とってもいい人から結婚を申し込まれたんだから、やっぱり、めでたいってことか。 そうだよね。めでたいよね。親友だったら応援することだよね。頭ではわかっているけどなんだか釈然としない。 トモも彼の写真を見せてくれていたら、こんなことにならなかったのに。 「まだ、ちゃんと付き合ってないから。」とか何とか言って、見せてくれなかった。でもそれはまだ彼氏のいない私の気持ちを思いやってくれたから。無神経に見せびらかしちゃいけないって、遠慮してくれたから。そういうところがあるんだよな。トモには。
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