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ピピー、ピピー。ピピー、ピピー。
左手で目覚まし時計のありかを探る。あった。電子音は止めたが、まぶたは開かない。ふたたび、寝てしまいそうなまどろみの中で、かすかに考える。スヌーズ何回目だっけ。えーと・・・。たぶん・・・、3・回・目・・・。ダメだ。起きなくっちゃ。とっさにつかんだ時計を見ると午前4時をさしていた。
今日は週に2,3回ある花の仕入れの日。5時には花き卸売市場に着かなければならない。飛び起きるやいなや、食パンを口に放り込み、バタバタと身支度をして、自転車に飛び乗った。仕入れのある日はいつもこうだ。
私は山下佳奈。5年前から花屋で働いている。やっと仕入れを任されるようになってきた。将来は独立して自分の店を持ちたいというのが夢だが、技術も経験も資金も足りないというのが現状だ。
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