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「今日もおしゃれなの頼むね。年配の人向けで。1つは若い女性向けで白を基調にしてくれるかな。」
顧客に配るのか、週に2,3回は買いにきてくれる。今日はどんな風にしようか。腕が鳴る。
濃い深紅のバラ5本、濃いピンクと赤いカーネーションをそれぞれ4本ずつ、刺し色には目が覚めるようなライムグリーンのスプレーマムを5本、そして実ものに小指大の小さな赤い実のヒペリカムを3本選んだ。さらに葉もの3種類3本ずつを足す。
花の面がきれいな球体を描くように気をつけながら、花を一本一本、右に少しづつずらして、らせん状になるように合わせていく。色合いが偏り過ぎないように、刺し色が効果的な位置に入るようにも注意が必要だ。ライムグリーンが刺激的な落ち着いたブーケが出来上がった。
もう一つはピンクにボルドー色のシックなものに。
さて白の基調のやつはオフホワイトのアナベルをメインに白いバラ、少しライムがかった白のカーネーション、刺し色にライム色の実ものを少し。とてもさわやかでナチュラルな感じに仕上がった。
「いつもながら、見事だね」
『憧れの君』も満足そうな笑みを浮かべてくれた。やったー。
ところが、異変は会計の時に起きた。
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