白いブーケ

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「白いのはプライベートだから、ぼくが自分で払うよ。」 えっ。プライベート? いつもはすべて社用なので加藤商事様と書いた領収書をきるのに、今日は2つ分だけ?。どういうこと?。 若い女性って言ってたけど、もしかして彼女に贈るのかな。やっぱり彼女がいたのかな。妄想が頭を駆け回る。 「ありがとうございましたー。」 ブーケの入った紙袋を両手に持って店から出ていく後姿を少し顔を引きつらせながら見送った。  その晩、親友のトモにメールを送る。 「たいへん。今日、事件があった。『憧れの君』に彼女がいるかも。明日、誕生日のお祝いに行くからその時に話すね」 トモは岡本友香。高校時代からの親友。彼氏の話や、職場の愚痴など何でも話す。信託銀行のアナリストになったばかりで、将来はファンドマネージャーを目指している。本当は今日が誕生日なんだけど彼氏と過ごすので、明日、誕生日のお祝いをすることになっていた。
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