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あれは昨日、『憧れの君』のために私が作った白いブーケではないか。
アナベルに白バラに刺し色のライムの実もの、そう、花材も全く一緒。そして美しく整った球形。あの球形の技術を習得している人はそんなにいない。私がいる店でも服部先輩と私だけだ。だけど先輩はあんな花の組み合わせはまずしない。失礼だがもう少しもっさりしている。やはり私が作ったものだ。間違いない。
ということはトモが『憧れの君』の彼女。
凍り付く私に容赦なくトモの言葉が続く。
「これ、きれいでしょう。昨日、彼にもらったんだ。それでね。うふっ、プロポーズされちゃった。」
ケーキと紅茶をセンターテーブルに並べながら、少し恥ずかしそうに、でも満面の笑みで報告してくれた。
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