892人が本棚に入れています
本棚に追加
/761ページ
「疲れた………」
月曜午後16時57分、帰ってきて早々思わず漏れた本音に隣に立っていた密希………じゃなかったミツがクスリと笑う。
「運動不足じゃない?」
「誰のせいだと思ってんのさ………!」
隣に立つミツをにらめば、怖い怖いなんてわざと首をすくめたけれどその顔は笑っていた。
なんでこんなに疲れているのかというと、主にミツが原因なんだよね。
まず、家の母親はミツの変貌っぷりを見て舌打ちしてた態度が嘘みたいにコロッと変わって、顔を真っ赤にしてキャーキャー騒いでたし、今日だって朝から化粧バッチリでいつもなら大体ふりかけごはんで済ませるくせに朝からしっかり朝御飯を作ってた。
そして今日からミツが私の通う高校に転入してきて、クラスが同じだったんだけどミツがクラスに入ってきて早々にクラスの女子達大絶叫で男子でも半数が顔を真っ赤にしてミツを見てたし、休み時間ともなれば先輩から後輩まで沢山の生徒がひっきりなしにミツを見に来るしで………なんていうか、もうね?精神的に疲れたんだよ!
もう部屋に戻って寝ようかな?なんて、思いながら自室に入ろうとすると後ろからミツに手を握られた。
「なに?」
「疲れてるところ悪いけど、お腹空いてるんだよね」
「お腹空いてるなら冷蔵庫に何か………あ、そっか」
そうだ、ミツって昨日言ってたけど怪談話がご飯なんだよね。
でも、すぐに怪談なんて思い浮かぶわけないしなぁ………
「ねえ、何かお題!お題頂戴よ」
「お題かぁ………まあ、今回は特別にお題出してあげるよ
そうだなぁ………あ、そうだ。机の中ってお題はどうかな?」
机の中か………。
これも、小説家になるための第一歩と思おう。
そう思いながら、私はスマホを取り出して早速文字を打ち込むのだった。
最初のコメントを投稿しよう!