2食目 机の中

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これは、私の友人の従姉妹が体験したお話になります。 この従姉妹………仮に明子さんとしておきましょうか。 明子さんが高校生の頃、放課後一人残って課題をやっていた時の事でした。 黙々と課題をやっていると、カタンと音が聞こえ顔を上げて辺りを見渡したのですが周りには自分以外誰もいない………。 気のせいだろう、と思って再び課題に取りかかるとまたしてもカタンと音が聞こえ、もう一度辺りを見渡したのですがやはり自分以外誰もいません………。 気味が悪いなと思いながらも立ち上がってよく辺りを見渡すと、一つの机がずれていることに気づきました。 その机はクラスメイトの澤田さんの物で、勿論澤田さんの姿はどこにもありません。 なんで一つだけ?と思いながらも、明子さんは近づき机を戻してあげようと机に手をかけた時でした。 『ごはん………』 そんな声が突如聞こえた瞬間、明子さんの腕は突如何者かに掴まれ机の中に引きずり込まれたのです。 慌てて明子さんは掴まれた腕を机の中から引き抜こうとしたのですが、引きずる力はとても強くそれどころか引きずられた腕に痛みが走ったのです。 机の中は真っ暗で引きずり込まれた自分の腕すら見えなくて、パニックになった明子さんは咄嗟に近くに落ちていたハサミを掴むと何も見えない机の中へ思い切り突っ込んだのです。 その瞬間、まるで獣と人が入り交じったかのような悲鳴が聞こえたと思いきや、血生臭い臭いが漂ってきて腕の拘束がほどけたのです。 恐る恐る腕を机の中から取り出すと、腕には透明な生臭い液体と小さな歯形が無数に着いており少し血がにじんでいる部分があったそうです。 その後、明子さんは慌てて教室を飛び出し家で何度も腕を洗ったそうですが生臭い臭いはなかなか取れてくれなかったそうです………。 翌日、明子さんが教室に行くと澤田さんが普通に座って教科書等を机の中へ入れていたので、そっと覗いてみると机の中は真っ暗ではなく普通に入れられた教科書が見えました。 もしかして、昨日のは夢だったのでは?そう思いながら澤田さんの横を通りすぎたのですが、小さな声で澤田さんがこう呟いたそうです。 「あともう少しでご飯あげれたのに………」 その声は、どことなく悔しげだったそうです………。 澤田さんは机のなかで何を飼っていたのか、それは未だに謎だそうです………。
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