2食目 机の中

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「机の中に潜むモノか………確かに、机の中ってどことなく非日常に繋がっているかもしれないって思う時があるよね」 そう言ってクスクスと笑いながら、私の怪談を読むミツ。 初めて書いてみた怪談は、どうやらミツのお気に召したようでご馳走さまと微笑まれながらスマホを返された。 「久しぶりにこの本以外で良質な怪談を食べれたよ 流石、怪談小説家の遠縁さんなだけあるね」 「直接は会ったことないけどね」 そう返せば、ミツは持っていた怪談本の背表紙をなぞりながらクスリと笑いながらこう言った。 「でも、こんなに美味しい怪談は久々だよ……… つい最近までは美味しくない怪談ばっかりだったから」 「美味しくない怪談………?」 「あぁ、この家に来るまで………それこそ母と離れて暮らすことになった時に母方の祖母の妹って人の家で暮らしてたんだ」 あまり好きじゃなかったけどね、と答えたミツにどんな人だったの?と聞けば、ミツは少し目を伏せながらこう答えた。 「醜い人だったよ 祖母も怪談作家だったんだけど、自分は祖母以上に実力があるって過信して、だけど全くそんな実力も才もなくて、その代わり自分の欲にはとても忠実でね……… 俺を悪魔の子の息子とか言って罵りながら、身体を求めてきた欲深い人さ………」 そう話すミツの目はどこか遠くを眺めながらも、酷く冷えきった目をしているように見えてそれ以上は何も聞けなかった………。 一つの物語が終わったのと同時に、謎が増える。 食事はまだまだ用意しなければならないようだ………。 2食目、完食。
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