4食目 髪の毛

3/5
892人が本棚に入れています
本棚に追加
/761ページ
私の通っていた中学には少し変わった校則がありました。 それは、テストの日に人の髪の毛を抜いてはいけないというものです。 しっかりと生徒手帳にも記載されており、テスト当日ともなると教師が何度も念入りに髪の毛を抜いていないかと聞いたりしてきて、少し異様な光景にも見えました。 実はこの校則は、学校が出来た当初はなかったそうでこの校則が出来たのは、とある事件がきっかけでした………。 それはもう何十年も前の事になるのですが、恵美子さんというとても頭の良い少女がいたそうです。 恵美子さんは本当に賢くてテストではいつも満点しかとらず、宿題を提出すれば一つもバツがないといった本当に頭の良い子だったそうです。 そんなある日の事、その日学校では朝からテストがありいつも通り恵子さんが教科書を読みながら復習しているとクラスメイトの一人が恵子さんにこう言ってきました。 恵子さん、よかったら髪の毛を一本くれない? いいけど、どうして?と恵子さんがクラスメイトに聞けば、クラスメイトはもじもじしながらも頭のいい人の髪の毛を一本貰ってシャーペンの中に入れてテストを受ければ成績が上がるおまじないがあるからと教えてくれました。 恵子さんはそんなおまじないがあるんだと思いながらも、特に気にすることなく髪の毛を一本抜いてクラスメイトにあげました。 その時は普通にテストを受けて終わり、一週間後テストが返却された際に恵子さんはいつも通りほぼ満点の成績だったのですが、その髪の毛を貰った生徒が嬉しそうに恵子さんにお礼を言ってきたのです。 恵子さんありがとう!今回成績がすごく上がったわ! そう嬉しそうにお礼を言ってくるクラスメイトの声に、他のクラスメイトも集まってきて成績の上がったクラスメイトの話を聞くや否や僕も私もと恵子さんの髪の毛を欲しがってきたのです。 恵子さんはただの偶然だと言いましたが、どうしてもと欲しがるクラスメイトがかなりいたため渋々でしたが髪の毛を抜いて欲しがるクラスメイトにあげました。 すると、次に行われたテストの際に恵子さんの髪の毛を入れたシャーペンを使った生徒の成績が前よりもグンと上がったのです。
/761ページ

最初のコメントを投稿しよう!