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 数日後。たまたま部活が休みだったので、早めに下校した。  くだんの神社では、まだまだ桜が盛りだ。天気も良かったせいか、境内にはちらほらと人の姿が見られた。何とはなしにうれしくて、ちょっとお邪魔していくことにする。  うららかな日差しと、時折舞い落ちてくる花びらに目を細めながら散策していると、また間近で葉擦れの音がした。いや、花同士が擦れているのだから花擦れか。そんなことを思いつつ視線を上げると、  ――あれ?  何もなかった。満開の桜の中で、そこだけぽっかりと間が空いている。その空間の中心に、大きな切り株が残されていた。  何が何だかわからずぼうっとしていたところ、いきなり肩を叩かれた。勢いよく振り向くと、例の幼なじみが立っている。  「なんだか気になったから、散歩のついでに来てみた。時間、まだ大丈夫?」  平気ならちょっと付き合って、と、手を軽く引っぱられた。
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