第1幕 序章(1章) ワシントン大学での日々

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 2人は同じ大学に入学しているが、マーガレットは音楽や芸術などの分野を専攻している。実習などはそれほど多いことが特徴で、単位を取得するのもそれほど難しくはない。また彼女は香澄とは異なり、勉強をあまり真面目に行う性格ではない。成績は中間くらいを維持しており、卒業に必要な単位はほとんど取り終えている。遊ぶ時はとことん遊ぶが、勉強する時はスイッチを切り替えるタイプ。  香澄は心理学を専攻しており、マーガレットの学部に比べて、予習をしなければいけないことが多い。専門的な学問を学ぶこともあり、生徒自身による自主的な勉強が不可欠。  また香澄自身が真面目な性格であるが故ゆえ、アルバイトよりも勉学に専念している。大学入ってすぐのころは、香澄も家庭教師のアルバイトをしていた。だが心理学の講義が忙しくなったことをきっかけに、今はアルバイトはしていない。  より勉学に集中することが出来るようになったこともあり、香澄の成績は平均より高く、学校内でも上位を維持している。優等生と校内では評判となっており、才女として講師や学校関係者の間でも注目されている。 「相変わらず忙しそうね、香澄。心理学の勉強って……やっぱり大変?」 「えぇ……でも私が希望して専攻した学部だから、毎日とても楽しいわ」 “勉強ばかりで退屈なのでは”と心配していたが、彼女なりに学校生活を満喫しているもよう。 「……なら良かったわ。心理学を専攻する愛しのルームメイトが、“学校なんてつまらないわ!”何て言ったら、私どうしようかと思っていたんだから!」  香澄は“次の講義の準備がある”と言い、一足先に席を立つ。すると何かを思い出したかのように、 「……あぁ、そうだ! 香澄、例のコンサートの件だけど」 「何? ……もしかしてあなたの都合が悪くなりそうなの?」 「うぅん、それは大丈夫。……実はね。劇場の支配人が気を利かしてくれて、チケットを3枚くれたのよ。私の友達にも勧めたんだけど、“みんな用事があって行けない”って言われちゃった。だから香澄の友達で興味ある人いたら、1人誘ってもいいわよ」 「……分かったわ。ちょうど1人心当たりがあるから、後で聞いてみるわね」
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