0人が本棚に入れています
本棚に追加
「君が好きだよ」
彼の甘い言葉は体に染み渡る。
「一緒にいることが幸せだ」
笑顔で「あなたのそばにいるだけで幸せだよ」と言いながら涙を流す。
「君にとって最初で最後の彼氏になればいい」
抱きしめる彼のぬくもりを感じながら
私は今の幸せな瞬間を噛みしめる。
彼といるひとときが愛おしくつらい。
私に飽きたら、彼は私の前から姿を消してしまうかもしれない。
だから、この瞬間だけ悲しみの顔を隠し笑顔を向ける。
これが私のつける精一杯の嘘。
「君が好きだよ」
騙しやすそうな人だと思った。いつものように騙して彼女のお金も体も好き勝手にしてやろうと思っていた。
愛なんてくだらないし、めんどくさくなったら別れればいい。
「あなたのそばにいるだけで幸せだよ」
その言葉に心から嬉しそうにする彼女を俺の胸は揺さぶられる。
「一緒にいるのが幸せだ」「好きだ」とたくさんの嘘を彼女含めた多くの女性に吐いてきた。
「君にとって最初で最後の彼氏になればいい」
彼女の笑顔を見るのが愛おしくなったのはいつからだろう。
「彼女の全部を独り占めしたい」と心からそう感じている。
彼女の笑顔だけが俺の脳を狂わす。
しかし、
なぜ笑う彼女の瞳に悲しみが混じっているように見えるのだろう。
彼が私の気持ちに気付かなければいい。
彼女が俺の気持ちに気付けばいい。
ただ“そばにいたい”だけだから。
最初のコメントを投稿しよう!