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「せーの」という合図とともに4回目が始まった。
「あら、また私の勝ちだね。真実か挑戦か」
ハートの2とスペードの6で森田さんの勝ちだ。
またさっきのようなことをされては敵わないから今度は真実にしてみた。
手首の怪我はカードに血が付かないようセオが包帯をくれたので取りあえず止血はしたが、まだ痛む。てか夢の中で痛いってありえるのだろうか。
「そうだね、じゃあクイズを出すから考えてね。それが質問ということにするわ。ちなみに正解がわかるまで何問でも出すから。ある日葉畑君は私をお昼休憩に屋上に呼びました。さぁ理由は何だったでしょう」
「え、いや覚えてない。てか何も覚えてないから思い出そうとしてるのに」
「まぁ何か答えてよ。当たるかもよ」
「こ、告白?」
「ぶぶっー。2問目。葉畑君は休憩時間に私に声をかけました。なんていったでしょう」
「お、お話しない?とか」
「ぶぶっー」
「やっぱり今の俺だとわからない。せめて選択問題にしてほしい」
「しょうがないね。じゃないと終わりそうにないし。じゃあ3問目。葉畑君は私のことをなんて呼んでたでしょう。①森田さん②愛弓③根暗ブス」
『おい、根暗ブス。屋上こい。来ないとどうなってるか分かってるな』
『根暗ブスって。ひでー呼び名だな夕平』
『だってその通りだろ』
「さ、3」
「正解~。どう、なにか思い出してきた?」
一瞬頭の中をよぎったあれは、前の俺?
『ねぇ夕平、今日の放課後暇ー?有希と彩菜たちとカラオケ行こうよ。』
『あーいいな。じゃあ俺先帰るから、代わりの掃除よろしくな。メガネ君』
『う、うん』
そうだ、俺はクラスの地味な奴等をいいように使っていた。自分がクラスの上位に入っていることを分かって、下のやつをいいように使っていた。
断片的に思い出した記憶に伴っていきなりはしる頭痛。
「大丈夫?葉畑君」
頭を抱える俺を笑いながら見つめる森田さん。その瞳の奥底は笑っていなかった。
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