2人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開けて、違和感に気づいた。見覚えのないところにいたのだ。左右前後方みても、どこまでも続く白しかみえない。こんなの普通にあり得るのか。
「やぁ、お目覚めかい?」
背後からのいきなりの声に驚いた。
さっきまで誰もいなかったのに、どこから現れたのだろうか。
「だ、誰だあんた、ここは一体…」
「君こそだーれ?」
同じくらいの歳の男に、そう聞かれてドキッとした。頭にモヤがかかったみたいに、なにも出てこない。自分の名前も、歳も、今までどこにいたのかさえ。
「お、俺は…」
「やっぱり」
「あ、あんたは俺のことしってるのか?なら、教えてくれ。俺は誰で、どうしてここにいるのか」
「うーん、そうだね、僕は君のことを知っているよ。でも、ただ普通に答えるのも面白くないし、僕にとって得もない。だから、ゲーム形式にしない?そっちのほうが楽しいでしょ」
「ゲーム?」
「真実か挑戦か。知らない?2人で出来るトランプゲームなんだけど」
「知らない、てかそんな遊びに付き合う時間なんか」
「分からないの?今、僕のほうが立場が上なんだよ?別にいいよ、自分のこと知りたくなければ」
「もういい、あんたなんかに頼らない」
人が必死で記憶を思いだそうとしているのに、ゲームとか馬鹿にしている。入口があるから、ここにいるんだ。なら出口もあるはず。そう思い、男から離れ、前方に向けて歩いていく。
男はなにも言わなければ、ついてもこなかった。
最初のコメントを投稿しよう!