2人が本棚に入れています
本棚に追加
やはり今の俺は運がいい。
「真実か挑戦か」
「真実」
「あんたの名前は?俺とどういう関係?」
「私は森田愛弓。同じクラスだったの」
2回目は俺がハートの10、森田さんはハートの9だった。
「なんで、ここに森田さんがいるの?この空間は一体何?」
「ここは夢の中なの。だからどんなこともできるのよ。例えば、クッキーが食べたい」
その瞬間、机の上にはクッキーが出てきた。
「ほらね、一緒にたべようよ」
「俺の携帯が欲しい!」
しかし、なにも起こらない。
「ゲーム、テレビ、お茶!」
「あはははははは」
「なにがおかしいんだよ!!」
「いや、だってね。ごめん、クククク。
夕平君が叫んだってなにも怒らないよ。だって、夕平君は挑戦者なんだから」
となると、パァッと今までセオがやってきたことは、夢の中にいる挑戦者、つまり記憶を無くしたやつ以外なら出来るってことか。
となると、セオがこの空間の鍵を握っていると思っていたけど、間違いだったのかも知れないな。
3回目は森田さんの勝ちだ。真実と答えたところで俺が答えられることは少ない。
「挑戦で」
「……じゃあ手首を切って血を出して」
「は?!それ本気かよ」
「命令だよ」
森田さんはいつの間にか持っていたカッターナイフを渡してきた。
彼女の顔は真剣だ。本気でいっているのだろう。
息を飲んだ。罰がどんなものかわからない以上そちらを選ぶのは得策ではないと判断したからだ。
ギリッ
しかし血は出ず、傷みだけが残る。何回も何回もカッターを動かして、やっと血がでた。
ハッキリいうとものくそ痛い。リスカする奴の気持ちなんか理解出来なかった。
「あはは、どう?気持ちよくない?」
「全く…」
「そうだよね葉畑君みたいな人にリスカやる人の気持ちなんてわかるはずがないよね」
笑っている顔から急に、目を見開き無表情になる森田さんの豹変ぶりに戸惑いを隠せなかったが、すぐさっきと同じように笑みを浮かばした。
「続きを始めようーか」
最初のコメントを投稿しよう!