第四話

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子役からかなり活躍していた、超美少年だと当時話題になっていた。 共演はした事なかったが、まさかライバルになるとは思わなかった。 怜牙を越える美しい容姿が店のモニターに映し出されて、通りかかった女性も思わず足を止める。 そして容姿だけじゃない、透き通った宝石のような綺麗な声で音に合わせて奏でる歌声は怜牙ですら涙するほど感動した。 アイドルとしては新人の筈なのに、今までのMEMORYの歴史をぶち壊された気分だ。 コイツは危ない、脅威だと台本を拾いバックに押し込み早々に家を出た。 その年のアイドルランキングの首位からMEMORYの字が消えた。 二位になっただけだが、怜牙の周りが明らかに変化したのが分かった。 後輩達の憧れはSTAR RAINに変わった、メンバー内には怜牙を慕う奴がいるが怜牙の前でSTAR RAINの名を出せないからというお世辞なのは分かっていた。 それでも、事務所も違うライバルを慕うほど今のMEMORYには輝きがないという事だ。 怜牙にとって、これほどの屈辱は味わった事がない。 ドラマ主演も減り、STAR RAINの本郷圭介が主演…怜牙が友人役とかが目立つようになった。 CMも長年MEMORYがやってきたのに契約期間が終わるとSTAR RAINのに切り替わった。 レギュラーはまだあるが、いつ打ち切りにされるか分からず全力で守っている。 雑誌の表紙もSTAR RAIN、記事もSTAR RAINが多くなりMEMORYの記事が少なくなった。 読者ランキングも緋色に一位を奪われ、常に二位。 ここまで飽きられるのが早いといっそ無関心になる。 クール系王子の怜牙と正統派キラキラ王子の緋色…世間ではライバル関係だと思われている。 タイプは違っても、一位と二位だからそうなるのは分かっていた。 実際は怜牙が一方的に緋色を嫌ってるだけだった。 こんな事があって、STAR RAINを好きになる方がどうかしてる。 怜牙は一位崩落と言われて一年間過ごしていた。 仕事のし過ぎで可笑しくなってたのかもしれない、今はぐっすり寝れるほど時間が空いてるけど… 気分転換しようかなと緋色初主演の台本を眺めながらそう思っていた。
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