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そんな俺に感情を与えてくれた、生きる意味を知った。
人と一緒に食べる喜びを知った。
独占欲と大切な相手を守るために他人に怒りを覚えた。
甘いだけじゃなく、胸が締め付けられる恋を知った。
傍にいるだけで笑顔にしてくれる、それが三条優紀だ。
俺の全てである優紀が無価値だと言うなら俺はなんだ?存在を否定しているのか。
「テメェには一生分かんねぇよ、無価値な人生を送ってるテメェなんかに…」
「…うーん、そうかもね…だから俺に価値ある面白い人生を提供してよ」
なんで俺がそんな事しなきゃならないんだよ。
俺に近付いてくる男を押し退けてその場を後にした。
もう二度と会いたくない、今誰かになにか言われたら殴り飛ばしそうなほどイライラしていた。
教室に入ると優紀がいた。
それだけでさっきまでのイライラがスッと消えた。
我ながら可笑しいなと笑う。
優紀とは当たり障りのない会話をした。
アイツの事は優紀には言わなかった。
優紀はこれからバイトで忙しそうだからな。
それにもうアイツの事は記憶から抹消したかった。
それ以上何も聞かない優紀に感謝する。
優紀もなにかあったみたいだし、お互い様か。
今日は放課後はアイツらと勉強会か、まともに集中してやってくれるようになったから楽でいいけどな。
そう思っていたら電話が掛かってきた。
スマホをチラッと見るとマネージャーからだ、仕事の話か。
しかし今はもう午後の授業が始まってるし出れるわけがない。
終わったら折り返しの電話入れればいいかと思いながら、簡単すぎて退屈な授業を眺めた。
放課後になり、背伸びをする優紀を見る。
本当に猫みたいな奴だよな、気ままで自由な感じが俺にとって気楽になれる。
頭かたい奴はどうも苦手なんだよな、柔らかくしろと言いたくなる。
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