7094人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
翌朝俺は大きな欠伸をしながら体育館の壁に寄りかかっていた。
さすがに三時間しか寝てないときついな。
バイトの後で飛鳥とヤってればそうなるよな。
それにしても飛鳥は元気だな。
俺の目線の先にはドリブルをして数人をごぼう抜きする飛鳥がいた。
そして昨日紫乃がはしゃいでいたダンクを決めて、飛鳥のチームが勝利した。
本当に初心者かよ…ルール聞いてもあんなすぐに動けねぇだろ。
俺は眠気も忘れて魅入っていた。
仲間達とハイタッチする飛鳥は爽やかな青春を謳歌していた。
「カッコいいよねぇ、河原くん」
「…あぁ………あ?」
突然横から声がして横を見ると、床に座りこちらを見る紫乃がいた。
……お前、さっきあの喜んでる奴らの中にいなかったか?
ニヤニヤと笑う紫乃に目を合わせないように逸らす。
紫乃にからかわれるのはなんか嫌だ。
そっぽを向く俺を紫乃は「照れてる?照れてる?」と楽しそうに聞いてくる。
柔らかい紫乃の自慢のマシュマロほっぺをつまんで伸ばす。
「ごひゃんって!!」
「何言ってるかさっぱり分からねー」
「ごめんって、二人が仲直りしたみたいで嬉しかっただけだから」
頬を離すとちょっと赤くなった頬に触れながら紫乃はそう言った。
そういえば紫乃にまた心配掛けてたな。
「ありがとうな」と言い紫乃の頭をグリグリと掴んだ。
すると部員達と会話していた飛鳥がこちらに振り返り俺に手を上げた。
ちょっと恥ずかしかったが小さく手を振り返した。
それを紫乃に見られて咳払いして誤魔化す。
「そういえば優紀くん、河原くん襲ったの?」
「はぁ!?そ、そそそっ!?なななっ!??」
「…ほほぅ、襲ったんだぁ」
「し~の~!!」
俺は再び紫乃の頬を狙い手を伸ばそうとしたら、さすがに同じ手には引っかからないと紫乃は素早く。
足が早いのが自慢の紫乃を必死に追いかける俺。
そしてそれを楽しそうに見つめる部員達。
飛鳥は「…やべ、上条に嫉妬しそう」と言っていたが、俺の耳には届かなかった。
結果俺は部活に参加していないのに一番良い汗を掻いていた。
最初のコメントを投稿しよう!