第五話

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部活も期末勉強で休みになり、俺達はそれぞれの時間を過ごしていた。 飛鳥は紫乃と始の勉強を昼飯の時でも始めた。 飛鳥の勉強はかなりスパルタで勉強しないと飯を食わせてもらえないと嘆いていた。 隣で飯を食うのは気が引けて俺もお預け状態で勉強を見守っていた。 そして放課後は飛鳥に襟を掴まれ二人は連れてかれた。 俺は先生に頼まれて古城に勉強を教えている事を飛鳥に伝えているから飛鳥は分かっていた。 最初は「…古城?どっかで聞いた事が…まぁいいか」と言っていた。 知り合いか?飛鳥が思い出すのを放棄したからそれ以上聞かなかった。 古城と図書室で勉強をする。 最初は俺で大丈夫か不安だったが古城は覚えるのが早いのか教えるのも簡単だった。 「おっ、凄いじゃん…全問正解」 「…ふん、当然だ」 「これなら赤点は免れそうで良かったな」 「っ!?」 俺が作った小テストだけど古城は几帳面な字で全問正解した。 家庭教師していた時も思っていたが教え子が成長するのを見るのは楽しいもんだな。 つい中学生の教え子の時のように頭を撫でると古城は目を丸くした。 そしてみるみる顔を赤くして目を泳がせていた。 おいおい、いくら今が気温差が激しいからって期末で風邪引いて全て台無しにはするなよ。 今日はここまでにするかと参考書を閉じた。 「古城、お前熱があるんじゃないのか?」 「……ちょっ、顔…近っ」 「保健室行くか?」 「い、いいっ!!」 古城は慌てたように立ち上がるからビックリした。 熱を計ろうと額に触ろうとしただけなんだけどな。
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