第五話

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余計顔が赤いが本当に大丈夫か? 大丈夫と本人が言うなら無理には言わないけど… 図書室の前で古城と別れようとした。 すると呼び止められて、いつもはそんな事がなかったから驚いた。 「どうした?古城」 「……あ、明日から…期末だよな」 「あぁ、だから今日は早く寝ろよ」 古城は目を泳がせもごもごとしている。 こういう時、なにか俺に言いたいんだよな。 そのくらいなら何となく古城の気持ちが分かってきた。 古城はこうなるとなかなか言わないから「どうかしたか?」と言うと、ズボンのポケットを漁る。 そして俺の前に見せる。 それはスマホだ、これだけじゃ分かるわけないぞ古城… 「えっと…古城?」 「す、スマホ持ってるだろ!?」 「…え?あるけど」 「俺にSNSのID教えろ!」 なんつー潔い上から目線だ。 でも顔はいっぱいいっぱいなのが分かり、可哀想に思いスマホをカバンから取り出す。 まぁIDは減るもんじゃないしな。 交換が終わると古城はほっとしたような顔をしていた。 …俺、そんなに仲良くなったのか?自分ではよく分からない。 古城に手を軽く振り、今度こそ別れた。 俺も帰ったら予習しとこうかな、散々言って俺が赤点になったら洒落にならない。 飛鳥はまだ勉強してるのかと思ってメッセージを送ろうと思っていたが、新着メッセージが来てる事に気付き先にそっちを見た。 『テスト』 それだけが送られてきた。 テストはテストでも普通に一言でも書けばいいのに、考えるのが面倒だったのか? 俺は『了解』とメッセージを送った。 そして飛鳥にもメッセージを送りスマホをカバンに放り込んだ。 寮に向かって歩き出した。
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