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「うぐっ…」
俺はキスを迫り近付いてくる古城の腹を蹴った。
腹を押さえてうずくまる古城を冷めた瞳で見下ろす。
恋人がいるって言っても諦めないんじゃなんて言えばいいんだよ。
古城はあの盗撮魔と違って、あまり悪意がなさそうだから困るとため息が漏れる。
古城は何とか身体を動かし俺を涙目で見上げる。
そんな強く蹴ったつもりはなかったが痛かったか?
俺は古城と目線が合うようにしゃがむ、今の俺に出来る事はこれくらいしかない。
「……さん、じょう」
「古城、お前が俺にそういう目で見なくなったら昼飯奢ってやるよ」
古城は悪い奴ではないと思う、だから俺の事をきっぱり諦められたら友達になろう。
俺が何を言っても諦めそうにないから俺からはもう言わない。
ただ、個人的に会う事はもうないだろう…また勉強を教えてほしいと言われたら誰かを連れてきて三人でやるかもな。
俺は弱々しく「待って…」と止める古城に背を向けて図書室を後にした。
図書室を出ると扉の横に寄りかかっていた人物がいた。
いつから居たんだ?こんなところで何してんだか…
「入りたければ入ればいいのに…」
「いや、お前がどうするか気になってな」
ニヤニヤと飛鳥は面白そうに笑って俺を見ていた。
俺がお前以外に靡くわけないだろうと俺も笑った。
俺達は並んで廊下を歩く、まだ明るいのに廊下は静まり返っていた。
むわっとした暑さが廊下に染み渡り暑さで汗が流れる。
寮はクーラー完備だから早く寮に帰りたい。
なんでこの学校夏にネクタイしなきゃいけないんだよ。
普通しないだろと不満そうにネクタイを外す。
ふと何やら痛い視線が気になり隣を見ると飛鳥が無表情で俺を見ていた。
「…何だよ、見えてないだろ」
「違う…ここ」
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