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寮の部屋に入るなりドアに身体を押し付けられ唇を重ねた。
静かな室内でくちゅくちゅと舌が絡み合う音が響く。
力が抜けた指から滑ったカバンが玄関に落ちる。
角度を変えて夢中になりお互いの熱に浮かされる。
唇を離すと飛鳥の唇が赤く濡れていて、それがとても妖艶に見えた。
飛鳥からも俺がそう見えるのか男らしく微笑み涎の跡を親指で拭く。
「…ずっとどうしようか考えてた」
「………決まったのか?」
「おう、今日は優紀をとことん甘やかしてやるよ」
甘やかす?どういう事だ?具体的な事を言わないから想像出来ず首を傾げる。
飛鳥に手を引かれいつも強引に引っ張るくせになんか妙に優しく触れてるだけで力が入ってない飛鳥の指先に戸惑う。
汗掻いたし先に風呂に入りたいと言うと当然のように「じゃあ入るか」と飛鳥も一緒に入るという口振りだ。
まぁいいけどな、何度も入ってるし…いやじゃないから…
着替えを用意してから風呂場に入りお互い見慣れた裸になる。
シャワーヘッドからぬるめのお湯が流れる。
夏は暑いけど水だと風邪引きそうだからこのくらいがちょうどいい。
そして俺はこの状況をどうしたらいいのか戸惑っている。
「…あ、あのさ飛鳥」
「どうした?痛かったか?」
「…………いや、痛くはない…むしろ気持ちいい」
「そうか」
会話が続かず、そこで会話が途切れてしまった。
いつも風呂に入るとエロい雰囲気になったし、さっきだってその気になるようなキスをしたんだからてっきりそうだと思うだろ?
しかしいざ入ったら何故か飛鳥に髪を洗ってもらっている。
……なんだこれ、これが甘やかすという事か。
飛鳥の長い指先が髪を撫でてくすぐったい。
飛鳥にバレないように両手で前を隠し、身体を丸める。
どうすんだよ、ちょっと反応しちゃったじゃねぇか。
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