第五話

56/56
前へ
/805ページ
次へ
ぴちゃんと髪から水滴が湯船の中に落ちる。 二度目の風呂は疲れきっていて後ろにいる飛鳥に寄りかかる。 何回したんだっけ、途中から数えるのがバカらしくなって数えてない。 飛鳥に頭を撫でられる……頭を撫でられるのは気持ちよくて好きだ。 「たまには甘やかしもいいな、いつもより盛り上がったし」 「……もう勘弁してくれ」 飛鳥は笑うが、俺は笑い事じゃないと怒る。 次は俺が飛鳥を甘やかしてやる、俺の気持ち味わえと企む。 後ろから飛鳥に抱き締められて指を絡ませる。 首筋に顔を埋められて飛鳥の髪がくすぐったい。 もしかして飛鳥、今度は甘えてるのか?俺が甘やかせてやろうと思ってたのに、可愛いやつ。 頭を撫でると飛鳥はこちらを熱い瞳で見つめていた。 「…優紀、俺考えたんだけど」 「ん?」 「乳首に絆創膏貼ればエロい乳首見られなっ、いてっ」 飛鳥の頭をぺちんと平手打ちした、加減したんだ痛くはないだろ。 そんな変態プレイみたいな事するわけないだろ。 エロいとか思ってんのお前だけだ!絶対やらねぇ… 頭を押さえる飛鳥を無視して湯船から出る。 振り返りムスッとした顔で拗ねる飛鳥を見る。 本当に分かりやすい拗ね方するなぁ、飛鳥は… 「飛鳥、好きだぞ」 「…何を今更、俺も好きだ」 そう言うが飛鳥はとても嬉しそうに笑っていた。 言わなくても分かる事だが口にする事は大切だと思っている。 愛はいくらでも言葉で、行動で伝えてもいいものだ。 将来どうなるかなんて誰にも分からないし、それが普通だ。 でも、不思議だ…ずっと俺達は変わらないような気がした。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7093人が本棚に入れています
本棚に追加