第六話

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第六話

※視点なし コツコツと靴が並び歩く足音が二つ鳴り響く。 いつもは賑やかで人が多いそこは静寂に包まれていて自分の姿が見えないほど真っ暗だ。 頼りなのは懐中電灯代わりのスマホの光だけだ。 足元を照らしながら一歩一歩慎重に先に進む。 窓の外を見ると外も同じように真っ暗でザザッと風に揺らいだ木が不気味に笑ってるようだった。 足音の一つが止まり、続けてもう一つが止まった。 「な、なぁもう帰らね?」 「何言ってんの、今日しかないんだよ?」 「…だ、だからって…紫乃ぉ」 弱腰で情けない始は紫乃と握ってる手を引っ張るが紫乃は止まらず始はずるずると進む。 繋がっているから仕方なく始も歩き出した。 本当は来る前は紫乃が怖いとか言って頼りにされる事を期待していた。 しかし現実の紫乃はとても頼もしくて始が紫乃の後ろに隠れている状態になった。 紫乃を守るカッコいい男を演じたかったのにとギリギリと悔しがるが、紫乃の後ろから出れない。 紫乃は始に表札を照らしてとお願いして表札を照らす。 「ここ?笑う肖像画って…」 「ま、まぁ…ただの噂だし…ほらもう帰っ」 「あれ?なんか聞こえない?」 始は紫乃の手を軽く引っ張るが、紫乃がドアに向かって耳を付ける。 紫乃が脅かしてると思い「や、やめろよ…」と小さく呟く。 しかし紫乃は口元に人差し指を当てて静かにしろと目で訴えていた。 始は口を閉じる、耳を塞ぎたいが懐中電灯代わりのスマホを持ってるから防げない。 すると「うっ、うぅ~」という男の低い声が聞こえた。 始は青くなり、紫乃に早く帰ろうと肩を揺する。 しかし紫乃は帰らないどころか肖像画を確認するからとドアの窓から光を当ててと言う。
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