第六話

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「ひぅ!!」 ガラッと音楽室のドアを開けると暗い音楽室の中、ぼぅ…とぼんやり光りが見えた。 勢いあまり大きな音を立てたから驚いたみたいだ。 ……驚いた?なんで幽霊が驚くんだよ、幽霊なのに… 電気を付けたいが警備員に見つかるといろいろとまずいから、スマホの光で音楽室を照らす。 黒い影が音楽室の奥で座っているのが見える。 俺の横から飛鳥が覗き込む、俺達は深いため息を吐いた。 「…これが、幽霊の正体か」 「みたいだな」 そこにいたのは前髪が長い男…まるで変装飛鳥のような少年がいた。 突然俺達がやって来たから怯えた表情を見せている。 こんな夜に何をしているんだ?悪い事をしているようには見えないけど… ふと少年の傍にはなにかが散乱しているのが見えた。 少年に近付くとビクッと震えていたが、気にせずそれを一つ拾い上げる。 四角いものに写真が見える、俺は買った事がないがこれは… 「CD?」 「あ、それ…」 少年が小さな声を上げる、謝り少年に返した。 そのCDはSTAR RAINの曲が入ったアルバムCDのようだった。 なんでここにこんなにあるのか分からない。 飛鳥はジッと少年を眺めていて顔を引きつらせていた。 他のも全部STAR RAINのCDのようだ、CDプレイヤーも傍にあった。 イヤホンを耳から外している、こんなところで聞いていたのか。 「君、なんでこんなところでCDを聞いているんだ?」 「あ、その…僕…」 なんか挙動不審だな、まさか人に言えない事をやっていたわけじゃないだろうに… 飛鳥は少年を見ていた……というか睨んでいた。 なかなか喋らないし不審者のようだからだろう。
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