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テーブルに置いていた可愛い赤と白の水玉模様の飴の包み紙を掴む。
さっき舐めていた飴だろうか、口に入れて俺を見た。
口を動かす度に、中にある雨が動くのが分かる。
「わざわざ俺がお前と同じ部屋にしてくれって管理人に頼んだ意味ねぇだろ」
「……なんだ?聞こえない」
「聞かなくていい、ほらこれ」
小さな声だったから聞き取れなかった、気になるけど河原が話題を逸らすからそれ以上は聞かなかった。
河原になにかを投げられキャッチする。
それはテーブルに置いてあったもう一つの飴だ。
河原が食べていたものと同じなのだろう。
甘いけど甘すぎなくて、喉に優しい感じがする。
河原は「よろしくな」と言った。
俺の口の中にも、はちみつの飴の味が広がっていく。
結局誰でもキスする奴なのかなんなのか分からないが、とりあえず今日から河原と同室者になった。
リビングには段ボールが置かれてた。
きっとこれが河原の私物なのだろう。
2つしかない段ボールを見て私物が少ないのか?と思った。
河原はその一つの段ボールを開けて服を取り出し着替える。
そうだ、部屋…物置だった…早く片付けないとな。
「河原、自室はもうちょっと待ってくれ…すぐに片付けるから」
「必要ねぇ、お前の部屋で寝るから」
まぁ俺が悪いし、ベッドは譲るか。
ずっとソファは嫌だから早く片付けてしまおう。
俺が頷くと河原は笑った。
素顔を知ってしまったからか、根暗姿でもカッコいいと思ってしまう。
別にこれは変な意味ではなく、男として羨ましいって意味だ…俺、誰に言い訳してるんだ?
「このかつら蒸れるんだよなぁ…」と愚痴を溢しながら着替えの時外していたかつらを付ける。
するとスマホが震えて始からSNSが届いた。
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