第一話

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貯金箱に金が落ちる音が好きだ、預金通帳を見るのが楽しい。 お金は裏切らないし、いっぱいあって困る事はない…そんな俺は可笑しいのだろうか? 貯まった金は大切に少しずつ使っている、金を稼ぐのは好きだがあまり欲しいものがないから貯まる貯まる。 でもそれでいい、金が増えていくのが楽しいから… いろんなバイトをして経験を重ねる事も大事だと思っている、就職にだって使える。 昨日のバイトは某テレビ局の雑用だった、テレビ局に就職するわけではないけど… 不定期だからか普通より時給がそれなりに高い…だから日給バイトばかりしている。 休みも自分で決められるから、それも魅力の一つだ。 いろんな仕事があって楽しいものだ、たまに日給ならではの特別なバイトもあるのが魅力だ。 学生が出来るバイト限定だけど種類が多い。 今日も求人雑誌片手にパラパラと捲っていると隣の席が空いてるからと隣に我が物顔で座っている友人は冷めた目でこちらを見ていた。 「よう、金の亡者くん今日もバイトか?」 「なんだがり勉くんか、残念だけど今日はバイトなし…この前荷物運びのバイトで腰痛めてさぁ」 「……お前はジジイかよ」 「もー、二人共喧嘩はだめだよ!」 眼鏡を掛けて難しい本ばかりを読んでいる友人その一の久我(くが)(はじめ)。 俺と性格が正反対で、普段だったら友達にならないタイプだが高校に入学してからの長い付き合いだ。 いつもこうして言い合いをしているが、まぁじゃれてるようなものだ。 お互い本気で言い合っているわけではない、少なくとも俺はそうだ。 そして俺のマイエンジェルである友人その二の上条(かみじょう)紫乃(しの)。 可愛くて癒し系で気配りも出来て優しい、まさに理想の女性。 見た目もふわふわな茶髪に大きな目に一切ケアもしていないのにモチモチプルプルな色白の肌をしている美少女だ。 しかし残念ながら男の子なんだ、女の子なら惚れていただろうが男の子だからただの目の保養だ。 やはりもったいない美貌という事で時々紫乃に写真を撮らせてもらって売りさばいている。 本人もノリノリで楽しんでいるから協力関係だ。 これが良い値で売れるから美味しい副業だ…学校内でこんな事をしても生活指導を受けた事がない。 教師も顧客だからなんだけどちょっと犯罪の気配がした。 別にエロい写真ではないけど、生徒の写真を買うってちょっとどうかと思う。
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