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売っている俺が言うのも変なんだけどな。
だけどいつもいいところで始にバレて写真を没収されてしまうから始にバレないようにどう売ろうか常に考えている。
始は俺に手を出してきたから、手を乗せてみたら叩かれた……文系のくせに痛い。
「分かってんだろ、出せよ」
「俺はかつあげには屈しない!」
「いいから出せよ、紫乃の写真!!」
やはりまたバレたか、売り出す前だったからとても惜しい…現像代だってタダじゃないんだよ。
俺の写真にファンが沢山いる事は始も知っている筈なのに酷い事をする。
別に隠し撮りじゃないし、紫乃は意外と撮影にノリノリなんだけどな。
はぐらかしても始の事だから証拠があるから言っているのだろう。
ずっと押し問答しても仕方ないから素直に言う事を聞くが、写真を出す前にこれだけは言っておこう。
タダでやるのは不本意だ、俺だって商売人だからな。
始を見つめると始は驚いた顔をして俺を見ていた。
「始、友達価格だ…特別に千円で売ってやる」
「写真一枚五百円だったよな、友達価格倍じゃねーか!!いいから寄越せ」
始に頭を殴られた、文系のくせに暴力的だな。
いいだろ五百円でも、この学校ちょっとした成金が多いんだから……俺は頭がいいだけで入った庶民だけどな。
渋々カバンから写真が入った封筒を取り出すと横からぶん取られて中身を確認していた。
そんな怖い顔で調べなくても健全な写真しか撮ってねぇよ。
あーあ、あの写真今晩の始のおかずになるのかぁ…金払え。
まぁでもそんな写真必要ねぇだろうけどなと二人を見る。
紫乃が始の腕に絡み一緒に写真を見て「これなんて可愛く撮れてるでしょ」「あ、あぁ…」と会話をしていた。
紫乃と始は恋愛の意味で付き合っている、それは高校一年の時から友人の俺よりも長い…中学生からだと言う。
この学校はエスカレーター式だし、外部入学の俺の方が珍しいだろう…親に進められて特に行きたい高校もなかったから受けただけだけど…
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