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※三条優紀視点
雨が窓ガラスに当たり線を描き下に落ちていく。
リズミカルに何度も打ち付けられていき、やがて大きな音を奏でた。
ボーッとそれを見つめながら窓ガラスを見つめる。
今日は一日中雨が降ると天気予報が知らせていたが、その通りになるだろうな。
雨のにおいは嫌いじゃない、でも…外に出る気が失せるのはいただけない。
休みの日もバイトしたいけどどうも指が動かない。
こんな日は日雇いではなく、別の事をするかな。
なるべく時間は無駄にしたくない、時間は無限ではないから。
机に顔を伏せながら取っ手に指を引っかけて引き出しを開ける。
積み重ねられた紙の一番上にあるあるものを取り出しにんまりと笑う。
我ながらよく出来ている…俺の渾身の一枚だからな。
始には悪いが雨の日はこれで儲けさせてもらうか。
封筒の中身を手のひらに落として一枚一枚傷を付けないように確認する。
この前始にほとんど取られたから、残っているのは部屋に残していたものだけで少ない。
本人がいいって許可もらってるんだから、いいのに…本当に頭が硬い。
うーん、これはいまいちピントが合ってないなぁ…
おっ、これはなかなか…黙々と仕分け作業をしている。
ほとんど使える写真で、にんまりと笑みを浮かべる。
ふと、目の前が俺ではなく誰かの影で重なって薄暗くなる。
「優紀、他の男の写真見ながらニヤニヤしてんじゃねーよ」
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