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子供のころ、小学校で毎年田植えをしていた。農業の勉強とともに地元のお手伝いにもなるので、田舎では大切な行事だ。
4年生の時、夏の前にひと月ほど雨が降らなかったことがある。植えたばかりの田んぼはみるみる干上がり、ひび割れた土が見えてきて気の毒な状態になった。
パトロールと称して毎日のように遊んでいた私たちは、もはやお友達状態だったオタマジャクシやゲンゴロウたちが残った水たまりに追い込まれたのを放っておけず。雨が降って水が戻るまでという期限付きで、教室の水槽に保護することにしたのだ。
そんな保護動物の中に、ちょっと変わったヤゴがいた。
つまりはトンボの幼虫なのだが、ふつうのものより二回りくらい大きい。それでいてとても大人しく、掃除のために水槽を移動させるときもじっとしている。暴れまわる他のヤゴとは雲泥の差だった。
妙な風格すらあるヤゴに、やんちゃ盛りの男子たちも一目置いたらしい。ヌシだ、いや田んぼの神様かもしれん! と大興奮していたのを覚えている。……池や湖じゃないんだから、あれって長生きした魚とかでしょ、つーか田んぼの神ってなんかショボくない? と、女子から冷た~いツッコミをくらって軒並みへこんでいたのも、今となってはいい思い出だ。
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