1章 D Dream of Tail -2- 『雨を降らせる龍と集い』

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 これは第一に守るべき大原則であるにも関わらず、これを破るD3Sが続出したというのはディックにとって、統率という意味でも重大な問題だったみたいだ。  それで、完全に後手に回る形ではあるけれどディックは、ドラゴンを容認するよりなかったんみたい。D3S隊員に向けてドラゴン探索に向けた特例が発令されたんだ。  どうか、ドラゴンを探し出して欲しい。  そして、この世界を狂わす『竜動』を我々で食い止めるに尽力して欲しい……と。  そもそも『龍』は、存在していない。  空想を相手に規定など成立させようがない。  幽霊でさえ『魔物』と細かい分類が定められた現代、ドラゴンはそれ以下の妄想の産物だったというのに。  その妄想を許してしまったらどうなる?  これを狂言といわず何と言うのだろう。  そう言って『竜動』事態を批判する者もいるにはいるけど…彼らの声は狂乱の竜を求める声によって掻き消されている気がする。  もちろん全てのD3Sが『竜動』に狂っている訳ではなくて、多く常識を弁える役員達は慎重な意見を戦わせたそうだ。その中には今世紀最強のフリーランスD3S、エルークの名前もあったと思う。  でも結局の所『ドラゴン』に関する規定は成立してしまった。  『龍』を証明するための法。  存在しないものに、存在を許す『術式』だと一部のウィザードは警告をも発したともいう。     
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