1章 D Dream of Tail -2- 『雨を降らせる龍と集い』

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 しかし残念ながらそれは焼け石に水だ。ウィザード協会の警告は一足遅かった。完全に『術式』とやらが発動した事を世界に知らしめてしまっただけだったと言われている。  ともすれば、今度こそ龍は、ドラゴンはこの世界に姿を現すのだと、龍に狂う者達は声高らかに『世界の王』の再臨を謳う。  20世紀末。  世界は、予言通り滅ぶ事はなかった。  であるなら21世紀、それは新世紀と呼ばれ新しく何かが始まらねばならないと強迫観念にも似て、何者かが降臨する事を待ち望むかのように……見えざる世界の幻を世に顕そうとしている。  『龍動』はさらなる熱を帯び、さめる事なくうねり続けるだろう。  まさしく龍のように。  世界は今、目覚めた龍に呑まれようとしている。  私もまた……そうやって龍に呑まれた一人なんだ。
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