オープニング 『ユーステル・アルスレーイの既視感』

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オープニング 『ユーステル・アルスレーイの既視感』

 時たまに見る夢は、いつも奇妙に私の心に余韻を残す。  言葉を借りればデジャウ、いつかどこかで見た事のあるはずの光景。  あるいは啓示?  どこかに囚われた者が繰り返し願う救いの声。  または予知夢?  いずれで出会う事になる一時を垣間見ているのか?  何度も繰り返し見る夢は、私の心を何故か不思議と揺り動かす。  私にはそんなウィザードの素質はないはず。  ウィザード……魔法使いの素質は遺伝だと聞いた事がある、私の先祖に素質があった人がいたという話は聞いた事がない。  この夢は呪いとか、私自身には関係ない何か別の、強引な力の所為ではないのだろうか?  そうであって欲しい。  あの夢を見ると切なくなる。  またあの夢を見たと思い出すとぞっとしてくる。  そうやって私の心を強く束縛する。  その日もそう。  今更夢で見なくても、何度も反芻してそれがどんな夢なのか分かっているのに。  まるで釘を刺すように私は、久しぶりにその夢を見た。  龍がさらって行く。  誰か、少年か?  龍と思える何者かがそれを腕に掴み、空を泳ぎどこかへと。  何故かは解らないけれども私は、その少年を助けなければならないと思う。  焦っている。  とてもとても。  姿も顔も、声も名も、何もかも知らないその少年を救うために私は、龍を追いかけている。  そんな、夢。  長い長い人類の歴史の中で……それは、唐突に繰り返される。   龍と眠りを共にする者は、とこしえを知る   その大きな体を、世界に架けて   見えざる翼で全てを跨ぐ   力を込めた宝玉を持ちては、待ちわびる   龍の最後が極東で、始まりへと繋ぐ  呪いの預言は告げられた。  行かなくちゃ。  夢を見るたびにそうやって、急かされている気がする。
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