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1章 D Dream of Tail -3- 『静かなるソコへの潜行』
「魔物だよなぁ、ウワサって」
「全くですね、」
一体全体『竜動』なんてどっから、どこで何時始まったんだ?
ディザーの何気ない一言に、たわいもない意見の交換が始まったのを私は聞きながら……私は龍の事を考えてた。
そもそも発端は二人が冗談めいたやり取りを繰返しているのに、一番後ろを歩いていたクオレから、ちょっと皮肉の混じった意見が飛んだからだ。
『その噂こそが連中の求めるもので、実体だ。竜なんて所詮そんなものだろう』
それで……ディザーが苦笑いを込めての返答したのが先の言葉という事みたい。
ディザーの意見に同調して答えたのはラーンだ。
「ラスハルトの言葉はとっても皮肉たっぷりでしたけど、ディザー君、分かりましたか?」
「バカにすんなよ、そりゃ一応分かってるって」
龍を求める声こそが『龍』……それが龍の実体みたいなものだ、とクオレは言いたいんだろう。
実在などしない、幻だ……って。という事は……クオレは反竜動派だよね?
なのにどうして竜探索になんて来たのだろう?
先頭を歩くディザーがラーンに向け、引き続き文句を言おうと振り返った。それに、アズサの手が伸びる。彼の頭を前に強制的に向け直させてしまった。
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