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「そのままだよ、今日ここでヒロくんに会えるのもわかってたし。本を落とすこともちゃんとわかってたんだよ。」
「ふ~ん、じゃあ僕の年齢とかわかる?」
「…いやいや、未来がわかるだけで年齢とか住所とか見れるわけじゃないから。勘違いしないでねー。」
「じゃあ、何がわかるの?」
僕の質問に『う~ん』と、首を傾けなから悩み始めた。
「あっ!この雨、もうすぐ止むよ。で、雨がやんだら私は行かないといけないから…ヒロくんとはここでお別れ。」
淡々と続けられる言葉を聞く。
「…まぁ、こんなこと言われても信じてないでしょ。」
僕は、少女の言葉に小さく頷いた。
「じゃあさ、もう一度会えたらちゃんと信じてね!で、その時はケーキ奢ってね。」
「わかった、もし偶然でも会えたら信じるよ。」
僕の返事に彼女は、ゆっくりと首を振る。
「出会いに偶然はないの!じゃあ、私行くねー。ヒロくんまたねー!」
少女は、雨上がりの青空のような満面の笑顔で雨宿りの屋根から飛び出していった。
突然の雨ような少女が走り去るのを見つめながら僕もそっと、雨上がりの街の中へと足を進めた。
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