雨模様の彼女。

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 ホントに、なぜ私は悠生のことを知らなかったんだろうか。 「男子も数えるくらいしか寄ってこないし」 「……女子って怖いな」 「お前も女子だろ」 「集団で行動する心理は理解出来ないわ」 「あんたさ、ぼっちだよな?」 「悠生に言われたくない」 「俺がぼっちなのは俺のせいじゃねぇ」 「あんたが笑わない、話さない、目つき悪いからクール系と勘違いされてるんじゃない?」 「たぶんな。……って、最後の項目要らねぇよ」 「見た目は大事な要素でしょ。悠生だってそのキラキラした顔がなければ女子に囲まれたりはしないんだから」 「女子に囲まれたっていいことないし、この顔がなければ平和なんだよ」 「ひねくれてるね~。いつか誰かに狙われそう」 「ほっとけよ」  まぁ、放っておきますけど。  用事は済んだし、これ以上長居しても意味はない。  というか早くこの場から逃げ出したかった。  だから、じゃあねを言った後に悠生に手首をつかまれたときは、びっくりした。  あと、嫌がらせかと思った。 「ん?なに?」 「ボールペンって持ってるか?今日忘れてきたんだ」 「ボールペンだけ?変なの」  といいつつポケットからボールペンを取り出す。  水色のシンプルなデザイン。どこからどう見ても女物。     
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