雨模様の彼女。

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 それから、頻度は減ってしまったものの、まだ貸し借りは続いている。  反対に、嫌がらせの頻度は増えている。  気にしている様子のない私たちを見て焦ったのだろうか。  嫌がらせはいろんなところに悪口の書かれた紙が置かれているだけ。  席を少し離れたすきに、机の中に。  その日に私が使っていた更衣室のロッカーに。  実害はないが、さすがに弁当箱の上に『デブ。』と書かれた紙が貼られていた時は食欲が失せた。  数を重ねていくうちに、わかったことがいくつかある。  まず一つ。筆跡と方法がすべて同じことから、犯人さんは一人であること。  おそらく、いやほぼ確実に女の子であり、悠生(はるき)がらみであるということ。  そして、同じクラスの人であるということ。  そう考えなければ辻褄(つじつま)が合わないことがいくつかある。 (……ん?また?)  最近は、よく視線を感じるようになった。  刺すような、鋭く、寒気を誘うような。  振り返ってみても、誰もいなかったり地味めの女の子たちが喋っていたり。  顔だけの美形に没頭するような子たちには見えない。  ……今になって不安になってきた。
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