雨模様の彼女。

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 自分で勝手に話して、自分だけで終わらせてしまう話し方はあまり好きではない。  周りが置いていかれてしまうから。  悠生(はるき)の様子は、さっきと変わらない。  それは冷たいとか、淡々としている訳ではなくて、話についていけてないような、そんな感じがする。  沈黙が流れる。 「あのコはずっと綺麗なままなんだと思ってた」 「え?」  一言、独り言のように呟く。  否、独り言だったのかもしれない。  そうわかっていたのに、反射的にこたえていた。 「そんなわけ無いじゃん」  しまった、と今さらのように口を塞いでも意味はない。  悠生は今までに見せたことのないほど感情豊かに、驚いた顔で私を凝視していた。  後悔したところで、過去はやり直せない。  少しの恥ずかしさを葬り捨て、腹を括って話し始めた。 「変わらない人なんていない。時の流れに沿って、みんな変わっていく。  本人の想いも、周りの思い込みも置き去りにしてさ。     
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