雨模様の彼女。

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 その内容は、中心人物である私たちにも聞こえていた。 「あの女、だれ?」 「知らない。悠生くんを呼び捨てにするなんて」 「私、悠生くんが女子と仲良く喋ってるとこなんて見たことないんだけど」 「悠生くんが笑った……!」  遠巻きに見られてるにもほどがあるでしょ。  騒ぎになるからにはモテるんだろうけど、なんだこのおかしな騒ぎ方は。  女子達ではないけれど、私たちも顔を合わせて声を潜めた。 「……このクラス、おかしくない?」 「大丈夫、おかしいのはこいつらだけだ」 「それ大丈夫じゃないから。悠生は何やったのさ」 「……俺が原因なの確定かよ?」 「美形大好き盲目女子でも、普通はここまで狂わないでしょ!……たぶん」  一応冷めている自覚はあるので、どうとも言えないが。  流石に世の中の女子がこんなに狂っているとは思いたくない。 「うざいから近づかないでくれ、って言っただけだ」 「だから不自然な距離を空けて囲まれてたわけね」 「……あの調子でベタベタついて来たら嫌にもなるだろ。あいつら相手に笑ってやる理由もねえ」 「あー、確かに」 「女子と話してなかったのはあいつらがいたからだし」  あの重圧を突破してまでわざわざ話そうと思うほどガッツのある人はいないだろう。     
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