1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「それじゃあ待っている小鳥というのは導きの金色の鳥・・・ですか?」
「ええ。私達人魚は陸にも上がって動けます。そして海に帰るときは人には見えない空から舞い降りる金色の小鳥が仲間のいる場所へ導いてくれます。
私は今その小鳥を待っています」
「人魚さんか、本当にいたなんて」
「私アマーリエです。あなたは?」
「僕はアドルフ、この街で靴職人の見習いをしています」
「靴を作るんですか?素敵です。ただ私達人魚には不要ですね。ふふふ」
この長くて綺麗な足に僕が作った靴を履いてくれたらいいのに。
「もうすぐ日が暮れて金色の小鳥も来るでしょう。
アドルフ、少しでも話せてよかったです」
「明日も!また、会えません、か?」
僕には特定の恋人もいない。好きな人もいなかった。
こうしてアマーリエに出会うまでは。
明日も明後日も、ずっと会っていたい。
アマーリエは寂しそうに下を向くとゆっくり首を振った。
最初のコメントを投稿しよう!